嫁モバイル「嫁モバ☆タイム」全曲解説

嫁モバイル「嫁モバ☆タイム」全曲解説 / サイモンガー

 

1.嫁モバ☆タイム
アルバム1曲目、タイトル曲らしいアッパーチューンを作るべくして作りました。
曲の元ネタはだいぶ前に作ってあったのですが、現状のものよりテンポがだいぶ遅く、なんというかG-FunkみたいなHIPHOP感のあるトラックで、イイんだけどちょっと我々っぽくないかなと思って放置してあったものです。
歌詞は、嫁モバイルが魔法のメロディオンを使って嫁モバ☆タイムを発動させるイメージで、それはモンガによる様々な妨害をことごとく退けるのです。
2.霊ドバック妄想
ラテン調の曲を作れという嫁モバイルからのオファーに応えようとしたのですが、ラテンに関する知識がないためにこういう曲になりました。
陽気な心霊、死してなお活躍するミュージシャンと言った、死のイメージを少しでも和らげる表現を使って、自らに迫る死の恐怖に備えたいとう思いが表出しています。
3.ギミギミ・クインシー
40年来の友人であるベーシスト、ファンクラ大臣からの提供曲です。私が作る曲だと描きにくい、外側から見た我々夫婦のすがたが、軽快な和ハウスに載せてよく表現されていると思います。
曲中に、様々なファンクナンバーへのオマージュが敷き詰めてあり、「こんなファンクじゃなくてもっとデート向きの曲をかけろ」と訴える嫁モバイルの主張に真っ向から反対する流れを作っています。
4.そのシンセサイザー
恥御殿さんへの提供曲「アンチレトロ宣言」の歌詞ちがいセルフカバー。
恥御殿のリーダー、順子さんのご家庭には、小さなお子様とシンセ好きな旦那さんがおり、夫婦の間でこんな会話があったりするのかなあというイメージで書いたのがこの「そのシンセサイザー」なのですが、順子さんより書き直し要請を受けまして。結果「アンチレトロ宣言」が採用されたという経緯があります。
ゆえに歌詞中の「姪っ子の入学祝いのプレゼント」はもともと「娘の」でしたが、そのまま我々が歌うと大きな勘違いを生みそうなので「姪っ子」としたのです。
今回のアルバム用として一番最初に出来たとらっくなのですが、並べてみるとファンク過ぎるというか、ちょっと浮いてるかも知れない。
5.お水を一杯飲んだら何メートル走れるかしら
漫画家・俳優で同級生の河井克夫、現在は愛媛在住の自主アニメ作家鳥羽ジャングルとともに組んでいたテクノポップのバンド「アーバンギャルズ」のナンバーをカバーしました。
元々この曲は嫁モバイルのお気に入りで、私のPCに入っていたアーバン時代のトラックを使って嫁モバイルが勝手にカバーし、Soundcloudにアップしていたのですが、今回は私がトラックを作成し直して、違う趣きにしてあります。
6.ETERNAL LIBERTY
今回のアルバム唯一のインスト曲にして、唯一の嫁モバイル作曲の楽曲です。
引っ越し中に発見された、約40年前の楽譜を元に嫁モバイルが演奏したデモを作ってもらい、それをDAWに貼って私がKORG Gadgetでアレンジするという流れで作りました。遺跡から掘り出された土器を復元するみたいで楽しかった。
曲はモロにJ-Fusionという感じで、どちらかと言えばT-SQUARE寄りだったのですが、カシオペア派の私は自分のカオシレーターソロのバックだけカシオペア風にしてやりました。
7.ボサノバサラ
これも5.と同様アーバンギャルズのレパートリーだった曲ですが、我々も長いこと演奏していて、お客様にはお馴染みの楽曲です。
作詞は「日本で初めてイラストレーターを名乗った」ことでも知られる長尾みのる先生で、ご存命の頃に復刊した氏の著書「バサラ人間」の付録CDに収録されました。
そのCDでは旧知のシンガー「上海マリー」さんが歌ってくれています。
そちらのバージョンもどこかで日の目を見たらいいなと考えています。
今回の収録にあたり、(現在長尾先生の著作物を管理されている)長尾先生のご息女様、「バサラ人間」を出版する「よるひるプロ」の門田様にご快諾いただきました。ありがとうございました。
NAGAO MINORU OFFICIAL
定本「バサラ人間」
8.歌の上のBetter Place
スローナンバー枠として作った曲。SLAVEのアルバムのスローミディアムや、メイザ・リークがいた頃のインコグニートみたいな感じに聴こえてたら良いなと思います。
歌詞は、SNSで喧嘩することの不毛さを訴えるもので、ある意味反戦歌ですね。
9.ホッカイディフィケーション
札幌出身の嫁モバイルは暑さに本当に弱く、初夏から初秋にかけてあらかた機嫌を悪くしています。この季節、口を開けば二言めには「札幌に移住する」と言ってるので、曲にしてやりました。
「ホッカイディフィケーション」は造語で、環境を北海道化する、みたいなイメージです。思いついたときにGoogleで調べてもヒットしなかったので、商標登録したらいいかも知れない。
10.返せ!我々のスウィートホーム
いきさつは歌詞の通りで、このアルバムの制作期間に引っ越しをする羽目になったことでスケジュールが後ろにずれてしまいました。
安住の地は見つかりました。ただ、前のマンションに比べると少し狭かったり、構造が変だったりで、嫁モバイルは少し不満そう。このアルバムが売れて、かつ良い物件を見つけたりしたら、また引っ越したがるかも知れず、戦々恐々としています。