アルバム「モバイルファンクの闇」全曲解説

1.盛り上がる 役に立つ
アルバム制作の大詰めを迎えた頃に、「1曲目にふさわしい楽曲を作る」という命題のもとに作ったアッパーチューン。かつて、株式会社DETUNEの佐野電磁社長に「サイモンガー・モバイルはテーマ曲を作るべきだ」と言われたのを思い出して、歌詞に自己紹介要素を盛り込みました。
曲中のスラップベースはKORG Gadget for Nintendo Switchの「Marseille」というシンセに入っている音で、今回アルバムを通して使い倒しております。

2.大王イカ
動画「ファンクで覚えるキーワード」で作った曲で、なぜか人気があるので収録しました。聴きどころは私による吉◯晃◯のモノマネ歌唱で、意外なほど似ていると評判です。
楽曲自体は故ベティ・デイヴィスの「Nasty Gal」からインスパイアされたものです。

3.カフェの重要性
かつて「サイモンガーさんもお酒の曲を作って欲しい」と言われたことがありまして、ただ我々夫婦はほとんど酒を飲まないので、リアリティのあるお酒の歌は作れない。なら普段からよく行くカフェについて歌おう、と思ったのがきっかけでできた曲。
曲名は、ボサノヴァのスタンダード曲「ジャズの影響」の影響を受けて付けました。

4.Mo’SxxT 盾
SLAVEみたいな骨太のファンクをやりたい、と思って作った曲で、アレンジはかなりのお気に入りです。
ただ、本当はもっと長い曲にしたかったので、今後長尺版を作るかもしれません。
歌詞は、自分の曲を配信で歌ったらサイモンガー・モバイルの権利を侵害している、と言われて驚いた、という内容です。
実際はもう少し入り組んだ話ですので、その辺詳しく知りたい人は私と仲良くしてください。

5.ポスペの森
8分の6拍子の曲を作ったことがなかったので、今回チャレンジしてみました。
餌をあげ、部屋をカスタマイズして大事にしたポスペ、過去のゲームハードで作ったどうぶつの森の部屋。そういった、電脳世界に置き忘れてきた思い出が皆さんにもあるのではないでしょうか。

6.ないしょのオルガン
KORG Gadgetのシーケンサーの仕様(『シーン』と呼ばれる演奏情報の塊と塊の間にまたがるような音の伸ばし方が出来ない、など)について嘆き、改善を願うツイートをした際に「そんなもんは工夫でなんとかしろ」というエアリプが、さほど近しいわけではないが知らない仲ではない人から返ってきたことがあって、ならばKORG Gadgetでは仕様上作ることが出来ない楽曲をKORG M01Dで作ってやろうではないかという、言ってしまえば邪悪な気持ちで作った楽曲。
しかしその後KORG Gadgetに本格的に向き合った結果、リリースのオートメーションを書くという方法でシーンをまたぐ音を入力することに成功したので、今回KORG Gadgetに移植してアルバムに収録しました。
アルバム収録にあたり、嫁モバイルのオルガンソロを追加しました。

7.昔ほど喰えない
久々にスネアのゴーストノートをたくさん打ちたい、と思って作った曲。
加齢と共に喰えるメシの量が減ってることについて歌いましたが、言霊の力は恐ろしいもので、曲を作った時よりさらに喰えなくなってきており、危険を感じております。
次回のアルバムでは「バイキングでドカ喰い」みたいな曲を収録して、また量を喰えるようになりたいと思います。

8.フィラー
1年くらい前になんとなくトラックだけ作ってあったのですが、見合う歌詞が書けなくて放ってあった曲。
アルバム制作の最後の最後に、もう1曲新曲が必要となった際に、取り憑かれたように短時間で書いた歌詞は「アルバムの穴埋め曲への愛」を語ったものとなりました。
歌詞と裏腹に人気があるので驚いています。

9.奥さまはドーベルマン2022
毎週土曜のYouTube配信で、少しでも新しい要素を盛り込みたいと思って、97年に当時やってたバンド用に作った曲をリメイクしたものですが、今回のアルバムにストレートなファンクナンバーが足りない気がしたので収録しました。結果、アルバム中盤〜後半にかけての勢いを呼ぶ重要な曲となりました。
もともと、Cameoの「Cameosis」みたいな曲がほしくて作ったものです。

10.Afro The Universe
これも90年代にやってたバンド用の楽曲で、数回しかライブでやらずに闇に隠れたままだったのを、嫁モバイルの薦めでリメイクしました。
スティーヴィー・ワンダーやアイズレー・ブラザーズみたいなシンセ、そうあのTONTOシステムで作ったような音が欲しいと思って、ポルタメントの効いた鋸歯状波のリードを左右に散らして入れてます。
トークボックスは、なにかと仲良くしてもらっているirieさん。アルバムにゲストプレーヤーが入るのは実ははじめてのことであります。

11.iPS細胞
動画「ファンクで覚えるキーワード」からの曲。M01DからKORG Gadgetへの移植にあたり、後半のクロマチックに上がっていく「Tron Up」と呼ばれるプリセットをどう再現するかで苦労しました。
これももう少し長いバージョンがあっても良いなと思いはじめております。その際は歌詞は変えます。

12.嫁モバイルの画面がバッキバキのLADY
バンド/パフォーマンスユニット「恥御殿」への提供楽曲のセルフカバーで、シングル「ないしょのオルガン」収録バージョンに比べるとストリングスの追加、スラップベースの強調などを施し、勢いと熱量を増しています。
ボーカルは嫁モバイルたっての希望でリテイクしました。
昭和ディスコ歌謡の再現を目論み、普段の自分の曲ではあまりやらない、PPPHが捗るBメロや、サビ終わりのオチ部分(キズモノよ〜のくだり)の追加といったギミックを使っております。

13.脱・券売機
「カフェの重要性」に近いテクノ寄りのアレンジで、よりファンク色のあるものを作りたいと思って、かなりの短時間で仕上げた曲です。某M屋には本当に良く行くため、券売機のUIは常に気になっておりました。よって歌詞が書けるのも早かった。
「この混沌を抜け出したいなら」という歌詞は、YMO「CUE」へのオマージュですが、誰も気づいてくれませんでした。

以上全曲解説でした。
今回のアルバムタイトル「モバイルファンクの闇」は、収録曲の歌詞から闇を感じ取った嫁モバイルによる命名です。
そんなに闇かな?と思いましたが、やはり並べてみると、日常の細かい闇が折り重なっているような感じがありますね。
皆様は、どんな闇を抱えて生活しておられるのでしょうか。また配信「サイモンガー・モバイルの最重要カフェ」ででもお聞かせください。

2022/07/05 サイモンガー